良さ日記

スパークリング麦ジュースをこよなく愛し、ホップとポップを嗜む男の「良い物」紹介日記。

水道止めてもカメラは止めない。

以下は『カメラを止めるな!』を見た男のしょうもないネタバレだらけの感想文になります。あとアンテとかDDLCあたりのネタバレもあります。見てない人はブラウザバック&ゴーシネマ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんぐらい空ければ良いもんかしらねこれ。

イマイチ行数の仕様を理解する気がない。

いや、実のところ『カメラを止めるな!』が大ヒットしたと聞いたとき、もしかして「そういう」文脈なのかなーと勝手に推理してたわけです。

インディーゲーム界における『undertale』や『Doki Doki Literature Club!』のヒットはおそらく地続きであると僕は考えていて、それは「第四の壁」に関するギミックのヒットだということ。

あまり踏み入ったネタバレは本筋ではないので避けますが、どちらのゲームも主人公キャラ以外にプレイヤーの存在がゲーム内で示唆され、それが返ってゲーム内世界のリアリティを担保する、という構造になっている、と僕は考えているわけです。

一度第四の壁を提示し、そのゲーム内世界の自由をあえてプレイヤーの良心に委ねるundertaleと、それを提示した上で乗り越えようとしてくるDDLC。

ジャンルも使い方も異なりますが、それがゲームの世界を、ひいてはそれぞれのキャラクターの存在を、まさに証明しているかのような錯覚をプレイヤーに与えてくれるところが面白いのではないかなーと思うわけです。

で、カメ止めもそういう、一度観客という存在に語りかけ、ゾンビという存在をあたかも本当に存在するかのような風にする純然たるホラーなのかなーと思ってました。

でもよく考えたら僕そんな怖いの見れないし、大ヒットするってのもちょっとおかしいですよね。

いやまあ着信アリとかリングが大ヒットするぐらい日本人はホラー好きだからそれはおかしくないか。

まあでも「ネタバレ食らう前に見ろ!」みたいなのはそんなホラーだったらおかしいですよね。

いやでもDDLCも結構ドギツいホラーなんですけどみんなすごい勢いで推してきた気もする。

……

まあ、結果から言えば全然違った、ということですね。

ワンカット撮影である理由付けとしての生放送という設定を後で提示し、どこがアドリブでどこが台本通りだったのか、というのを、後で見直してみてニヤニヤする、という完全なるコメディ映画でした。

いやホント面白かったー。アレは今大ヒットするのも分かるというか、いわゆる「オタク向け」の映画ですよ。

何がって?いやオタクって、「裏話」とか「あのとき実はこうだった」みたいなの大好きじゃないですか。オーディオコメンタリーとかね。wacさんが制作間に合わなくて急遽ロケテで収録したのが『Regulus』だ、みたいなそんな感じの話。

最近オタクがオタクらしくないみたいな話ありますけど、インターネットがみんなの手に広まりすぎて、「俺はこう思う!」みたいな考察型のオタクが減って、「何が何でも公式の解釈は全部拾ってる!」というタイプの知識型のオタクが増えたんじゃないかなーと。

まあこれは僕の偏見なので見逃してほしいんですけど。とにかく、そういう製作者のインタビューとか、オーコメとか、そういうのをくまなくチェックするタイプの人間にはたまらない映画だったと思います。

一度本筋を見てるのに酔っ払ったおっさんが寝ちゃってるシーンとかすごいハラハラしましたしね。あとは斧も偽物だって分かってる(はず)なのにお母ちゃんの暴走でドキドキしちゃうみたいな。見せ方がメッチャ上手かったと思います。

あとはやっぱ作品を作る人の葛藤が良かった。完璧より完成する方が大事、をきちんとなぞる絵に描いたようなプロ作家の主人公が、娘の熱量に押されて初期衝動を取り戻す、何ていうのはありきたりなようでいて一番アツいですよね。

ものづくりをしてるタイプのオタクにもメッチャ刺さると思う。

ここまで読んでまだ見てない人とか多分居ないと思うんですけど、万が一いたらすぐに見に行ってください。

「GHOST IN THE BOX!」の作者さんとの一悶着もありました(まだあるのかな)が、逆にアレをどう舞台に落とし込んだのかは気になりましたねとても。

どこかで見れる機会があったら良いなあと思う今日このごろでした。