なぜ月曜日のクリームソーダは”いい”のか。
先日、アイドルマスターミリオンライブシアターデイズにて、「月曜日のクリームソーダ」という新曲のイベントが始まりました。
「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」ゲーム内楽曲『月曜日のクリームソーダ』MV
数日前にはラジオで告知されていたようで、その曲名がTLに散見されることとなったのですが、ニコニコ動画の課金をすべて断った僕はそれを見返すすべもなく。
ただ、その時点で「これは俺の大好きな曲になるのではないか?」という予感がありました。
それはなぜか。
もちろん渋谷系の香りがするからです。
渋谷系を歌詞という点で紐解いていくと、あるひとつの特徴を見出すことの出来る楽曲というのが存在します。
フリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」に出てくる「1000回目のキスシーン済んで」というフレーズ。
ピチカート・ファイヴの「東京は夜の七時」というタイトルと歌詞。
そして僕が勝手に「恋とマシンガン」の流れをくんでいると思っている、水瀬伊織の「プライヴェイト・ロードショウ」に登場する「ドアにあと二回 鍵をかけるまで」というフレーズや、「このフレーズ 24回目」という歌詞。
初期渋谷系や、その文脈を辿ったと考えられる楽曲には、時々このような
「数字を定量的に示す」フレーズが登場します。
月曜日というのは、数字を定量的に示したものでこそないものの、週の1番目ないし2番目の日にちを示している言葉です。これは大きく見れば「東京は夜の七時」と似ている、というふうに思えるわけです。
このような定量的な表現は、小説では特に村上春樹氏のものに多く見られるものだと考えられますが(セックスの回数を数えたりね)、これは単にそれがかっこいいからというのと、渋谷系がそもそも共感を目的とした音楽ではないから、だと思います。
「東京は夜の七時」って、東京に住んでない人はどうなんの?夜の七時にバリバリ働いてて貴方になんか会えない人は?
問題ありません。これは共感を目的とした、万人がわかるラブソングなんかではなく、「物語を楽しむためのエンタメ」だからです。
とすれば、「月曜日のクリームソーダ」という妙に共感しづらい、「あー!あるある!」とはならないタイトルも、同じ香りがするとみなして良いのではないでしょうか。
中身の方を見ていきましょう。
先程水瀬伊織の名前を出しましたが、個人的には渋谷系を歌うなら、ミリオンのアイドルであれば「水瀬伊織」「周防桃子」の二択だと思います。
この辺は彼女らの持ち曲を見てもわかると思いますし、この人達が「お洒落っ気のあるツンデレ」だからだというのも納得してもらえると思います。
オシャレだけど男になんて簡単になびかないんだから!バカにしないでよね!みたいな感じが渋谷系を歌う子っぽいな~、と思うわけです。
そんな周防桃子が歌うパート。「なりたい!ショートフィルムのあの娘 そっと切り抜いたコラージュ」というフレーズ。
ビンビンに感じる80年代っぽさもさることながら、映画というモチーフに見覚えがありますね。
そう、Sentimental Venusに登場する「ママと見てたヘップバーン」という一節です。
そしてこっちの曲にも「ママのおさがり」と出てくるわけです。
このあたりの世界観の一致度がすごい。狙ったでしょ。え?違う?わかんないけどもね。
そして「クリームソーダみたい カラフルね」となるわけです。
クリームソーダってカラフルの例えとして適切か?いやまあ確かによく考えればさくらんぼが載ってれば3色……いや、メロンソーダとアイスクリームが混ざってどんどん色が増えてく気がするから確かにカラフル……かも?みたいな。
ひねりすぎてベーコンエピみたいになった比喩もポップです。
更には最後に唐突に登場する「セラヴィ!」
誰?セレビィの親戚?
いやどうも違うっぽい。
フランス語で”c'est la vie”=「これが人生だ」となるようですね。
いやわかるかいな。
わかるわかる。
いや細かすぎる。
とまあそんな感じで、今回は久々にニクイな~!と思わされる曲がアイマスからリリースされて幸せだな、というお話でした。
それでは。
P.S.文字サイズって変えたほうが読みやすいんですかね。そのへんも実験してみます。