良さ日記

スパークリング麦ジュースをこよなく愛し、ホップとポップを嗜む男の「良い物」紹介日記。

BUMPの軽めのファン歴13年の28歳男が初めてライブに参加した話。【後編】

さて、前回の続き。こっからは本当にいよいよアツい曲だらけのセトリですよ。今までもそうだったんだけど、よりいっそうね。

 

僕が一番恩恵を受けられる正面ステージに戻ってきての一発目は、望遠のマーチ。そんなことってあります?この曲は僕がライブに行けることになったaurora arcに付いていた、CDJ2017~2018のBDの中で、新しめの曲にも関わらず観ながら涙してしまった曲だ。

 

前回から一貫して主張しているのは「BUMPはとにかく俺のこと歌いすぎ問題」なんだけれど、こういうアップテンポでポジティヴさが根底にある曲って刺さるんだよね。根がポジティヴなのかもしれない。自惚れ。「羽根は折れないぜ 元々付いてもいないぜ」ってところが大好きすぎて。そう、前に進めなくなる理由なんて作らなくていいんだってこと。励ましがすぎる。「失うものはないとか カッコいいこと言えたら良いよな!」ががなるように、怒るように歌い上げられたのもポイントが高かったです。

 

からのGO。かと思いきや、イントロでメロディーフラッグを歌うというニクい演出も挟まり、混乱しているうちに「歩くのが下手って気付いた」と歌い出しがきた。思わず隣の友人とざわめいちゃいましたよ。だってメロディーフラッグですよ?これが何だったのかは後述。

 

グランブルーファンタジーのアニメOPでもあった曲。この曲はグランとかジータといった、「明らかにはなってないけど多分訳アリっぽいいかにもな主人公」のための曲じゃないと思った。これは「時間も金も限られてるし上を見るとキリがないけど、自分なりにソシャゲを楽しんでる何者でもない奴」にこそ刺さる曲でしょう。だから「ゴールに僕の椅子はない」「それでも急いで走った」「思いをひとりにしないように」なんだろう。「強くなくたって面白い」と思えればいいと彼らが歌ってくれた日から、僕はちょびちょびとグラブルを触るようになりました。触らない日も多いけど。キャラクターとかは本当に魅力的なゲームですよね。賛否も多いローアイン周りを中心に愛でております。ただ同じ武器を3本も6本も要求してくるのはハクスラ愛好家としてはちょっと意味わからない。強いの一本あれば良くない?

 

ちょっとずれましたね。次に演奏されたのはSpica。最近のBUMPはライブを意識して、踊れるようなナンバーが多いというのは前回から言ってることですけど、この曲も2stepチックなドラムに、スクラッチにも聴こえるギターのカッティングがクラブミュージックっぽいアプローチだなと感じます。でもすごい勢いでピュアなラブソングだった。これは恋。あとやっぱシンガロング出来るパートが絶対あるんだよね。

 

rayはBUMPの新スタイルを象徴するような曲だった。長らく音沙汰のなかったBUMPが初音ミクを引っさげて「お別れしたのはもっと前のことだったような」と歌い出した時の衝撃は凄かった。この曲はBUMPの数少ない「BUMPのことだけを歌ったように聴こえる曲」だと思う。最後のリリースからの変化というか、それまでの心境を綴ったような曲だと。そのうえで「○×△どれかなんて 皆と比べてどうかなんて 確かめる間も無い程 生きるのは最高だ」と歌い上げるのは流石ですほんと。

 

新世界はちょっとすごい。BUMPにこんなあっけらかんとしたラブソングがあっただろうか?「ベイビーアイラブユーだぜ」なんて20代の藤原基央氏に聴かせたら卒倒するんじゃねえかな。それだけ歳を取ると丸くなるというか、人生に対してハッピーな見方が出来るようになるっていうのはでも結構聞くよね。ディズニー映画がやたらと楽しめるようになったり。それにしたって「ベイビーアイラブユーだぜ」は一緒に歌ってて楽しすぎる。愛がコールできて皆で歌えるパートだなんて画期的な発明である。

 

アルバムとしても終盤に差し掛かり、次ぐらいで終わりだろうか……と考えていたところに聴こえたのが「supernova」のストロークだった時の気持ちが分かるだろうか。「ランラララーラ ヘイヘイヘーエイ」なんだぞ。「ランラララーラ ウォウウォウウォーオウ」だぞ。BUMPライブ歴の長い友人もちょっとびっくりしてた。こういうのをココでぶっこんでも良いのか!という驚き。もう一つ理由があったんだけど、それは後述。この曲についてこれ以上語るのは野暮だろう。

 

正規のセットリスト上のラスト曲は、アルバムラストでもある「流れ星の正体」だった。この曲は正直、このライブで聴く前と聴いたあとでかなり印象が変わった曲だ。もちろんいい曲なんだけど、すごく突出して良い!という感情を覚えたわけでもない。この曲の真髄はラスト1分、ドラムが延々と4ビートを刻みはじめてからなのだと知った。圧倒的に、言葉通り全てを伝えようとするようなパワープレイ。そしてその振動の中でも透明度を失わないボーカル。全てを置いていくというツアーラストらしいMCは、その実嘘ではなかったと知った。このラストのためにアルバムがあったのだとさえ思うほどに。

 

そしてアンコール。正直なところ、昨今のアンコール既定路線にはなんだかな、と思わなくもないのだけれど、そんなこと言ったって好きでライブに来てるのだからもちろん、アンコールがない方が良かったと思ったことは一度もない。ただ、アルバムツアーを銘打っておきながらアルバムリード曲を残す、みたいな見え透いたアンコールはちょっとだけ気持ちが冷めてしまうというだけのことである。しかしこのアンコールはアルバムラスト曲を締めてのアンコールだ。なんの懸念もないし、あと何をやるかも全くわからない。これがアンコールだよ、と思いつつ、「supernova」のシンガロングを歌ってアンコールするんだということを教わり、いつまでも歌声の合わない東京ドームの広さを味わっていた。

 

アンコール1曲目は「バイバイサンキュー」。そんなノーマークなカップリングある?「バイバイとかサンキューとか」って歌われるまで曲名が思い出せないぐらいだったわ。それにしたってどの曲もライブ初聴きの僕はともかく、往年のファンは嬉しい選曲なんだろうな、と勝手に推し量ってみた。「ひとりぼっちは怖くない」と言い聞かせるような歌詞が、いかにもバンド始めたてで不安しかなかったのだな、というのが伝わってきていい。

 

そして2曲目はガラスのブルース。これは正直なところ、待ってました!となった。ユニゾンで言えば「フルカラープログラム」に相当する、ライブ常連の初期の名曲だと勝手に思っているからである。情景が浮かぶ、ストーリー路線のBUMPの原点にして頂点だ。でもそんな曲も初見なのが幸か不幸か分からぬまま、ガラスの目をした猫になった俺は歌い続ける。ガラスの目をした猫が星になったところで涙もこぼれるが、そんなことは全く意に介さず歌う。今日しか聴けない歌詞のアレンジも聞き逃さないようにしながら。今からシンデレラガールズのライブに初めて行って、「お願い!シンデレラ」を聴く人もこんな気持になるのかしら。

 

これで終わりだろう、という空気の中、ここからひとりステージに残った藤原氏が「魔法みたいな夜だったな」とMCを始める。随所で「ツアーラストの今日を終わりたくない」という彼の気持ちはバシバシと伝わってきていたのだけれど、それが爆発したような感じだった。そうして語ったあと、一言。「こんなにしゃべるならもう一曲やれって話だよな。」僕はそれを自虐的なジョークだと思ったのだけれど、どうも本当にもう一曲やるらしい!この展開には本当にびっくりしたし、こんなアンコールは初めてだ。ダブルアンコールがあったライブには何度か立ち会ったけれども、誰よりもバンドのリーダーが一番終わってほしくないライブだなんて!本当に熱い気持ちのまま、ソロから始めるのにぴったりなスノースマイルが始まったのである。Tシャツを投げて上裸のままのチャマや、Tシャツを着直した増川氏がステージに戻り、バンドになる。これがホーム感ってやつなんだろうか。

 

スノースマイルが終わったのもつかの間、「もう一曲いけるんじゃない?」とまだまだ終わらせたくない基央氏。それを聞いて頭を抱えるチャマ。本当に誰にもわからない展開の中、花の名が始まり、ギター増川氏はギターを忘れて2番からようやく思い出した。その実、花の名のメロディーを汲んだ、藤原基央氏が僕たちに対して感謝を歌詞にして歌ってくれているような感じだった。ほとんど歌詞変わってたし。MCでも言っていた「一緒に歌ってくれたことへの感謝と、そうしたことがリスナーの糧になってほしい」という感じの内容だった……気がする。もういっぱいいっぱいであんまり覚えてないや。

 

そうして再び藤原基央氏以外が帰っていき、再びMCがはじまる。「魔法みたいな夜だったよな。」無限ループって怖くね?なんて思いつつも、そこからは違う内容に。「でも魔法なんかじゃねえんだよ。俺達の音を目印に、俺達とお前らの待ち合わせが上手くいっただけの、普通の日なんだ」と。つまりそれってメロディーフラッグってことだったんだ……あのアレンジにはそういう意味があったんだ……

 

そんな風に最高だったライブがいよいよ終わろうとしたとき、事件は起こったのである。まだ僕たちとのコミュニケーションが足りなかった(推定)藤原基央氏が、グッズを投げるように、フタの開いたペットボトルを投げたのである!その中の水が尾を引く様子はまるで「流れ星の正体」のようで……ペットボトルは僕の友人の前の席に着弾し、残った水が僕らを襲った。11月なのにビショビショになれるライブとか前代未聞だぜ。

 

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飛んできたペットボトル

最後まで僕らを騒がせたまま、ライブは終わったが、むしろこれは始まりにすぎない。ちょっと出しをされたメロディーフラッグをきちんと聴くという新たな使命が生まれたのだから。

 

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こんなに近かった。お疲れさまでした。